半導体工場の新設が電力会社に与える影響
半導体工場では、製造装置だけでなく、空調、排気、純水製造、薬液管理など多くの設備を使用します。品質を一定に保つため、安定した電力供給が欠かせません。
工場の稼働が地域の電力販売量を押し上げる
大規模な半導体工場が稼働すれば、工場自体の電力需要に加え、周辺の関連企業や物流施設などの需要が増える可能性があります。地域経済の活性化が、業務用や家庭用の電力需要へ波及することも考えられます。
電力会社株を比較する際は、供給地域内でどのような工場計画が進んでいるか、その計画が電力需要想定へどの程度反映されているかを確認するとよいでしょう。
すべての地域が同じ恩恵を受けるわけではない
半導体工場は、用地、水、交通、補助制度、取引先との距離などを考慮して建設されます。全国に均等に配置されるわけではありません。
全国の電力需要増加だけを見て、すべての電力会社株に同じ成長を期待するのは適切ではありません。企業の供給地域と、大型需要家の新増設計画を結び付けて考える必要があります。
脱炭素化も電力会社の成長テーマになる
AIや半導体工場へ電力を供給するだけでなく、その電気をどのような電源から供給するかも重要です。企業が脱炭素目標を掲げるなか、二酸化炭素排出量の少ない電力への需要が高まっています。
再生可能エネルギーの導入が続く
太陽光、風力、水力、地熱などの再生可能エネルギーは、発電時の二酸化炭素排出を抑えやすい電源です。第7次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する方針が示されています※2。
電力会社にとって、再生可能エネルギー開発は新たな収益源になる可能性があります。一方、天候によって発電量が変わるため、蓄電池や調整力、送電網の整備も必要です。
原子力発電の位置づけが変化している
原子力発電は、運転中の二酸化炭素排出量を抑えながら、大量の電力を継続的に供給できる電源です。再稼働によって火力燃料の使用量を減らせれば、燃料費の改善につながる可能性があります。
ただし、原子力発電所の稼働には規制基準への適合、安全対策、地元との調整などが必要です。再稼働の期待だけでなく、安全対策費用や廃炉費用も含めて評価しなければなりません。
送電網と蓄電池への投資が必要になる
発電所があっても、需要地まで電気を運ぶ送電線が不足していれば供給できません。再生可能エネルギーの適地と大規模な需要地が離れている場合には、地域間連系線などの整備も課題になります。
電力会社や送配電事業者には、中長期的な設備投資が求められます。設備投資は将来の収益基盤をつくる一方、減価償却費や借入金、金利負担を増やす要因にもなります。





