電力会社は、家庭や企業へ電気を供給する社会インフラです。そのため、電力会社株には「景気が悪くても電気は使われる」「事業が安定している」という印象があります。

しかし、必要不可欠な事業を行っていることと、株価や配当が安定していることは同じではありません。燃料価格、為替、原子力発電所、災害、政策、金利などによって、電力会社の利益は大きく変動します。

電力会社株への投資を検討する際は、期待できる配当や電力需要だけでなく、どのような場面で業績が悪化するかを理解しておく必要があります。

燃料価格と円安によるリスク

火力発電を行う電力会社は、LNG、石炭、原油などを調達します。日本は燃料の多くを海外から輸入するため、国際価格と為替相場の影響を受けます。

国際的な燃料価格が急上昇することがある

燃料価格は、産出国の政策、地政学的な緊張、世界の需要、輸送問題、天候などによって変動します。短期間で価格が上がると、電力会社の発電コストが急増することがあります。

複数年の長期契約で燃料を調達している企業もありますが、すべての価格変動を避けられるわけではありません。燃料の調達方法や価格の固定状況も確認したい項目です。

円安で輸入費用が増える

燃料の国際価格が変わらなくても、円安が進めば円換算した輸入額は増えます。火力発電への依存度が高い企業ほど、為替変動の影響を受けやすい場合があります。

為替予約などで影響を抑えることもできますが、長期にわたる円安をすべて相殺できるとは限りません。決算説明資料では、燃料価格や為替が利益へ与えた影響を確認します。

燃料費調整制度にも時間差がある

燃料費調整制度は、原油、LNG、石炭などの価格変動を電気料金へ反映する仕組みです※1。しかし、燃料の調達と料金への反映には時間差があります。

燃料価格が急上昇している局面では、調達費用の増加が先に発生し、料金への反映が遅れることがあります。規制料金の上限や料金改定の手続きなどによって、費用を十分に回収できない場合もあります。