配当金を見るときのポイント

電力会社株を配当目的で購入する場合、予想配当利回りだけでなく、配当を継続できる利益と財務余力があるかを確認します。

予想配当利回り

予想配当利回りは、1株当たりの予想年間配当金を現在の株価で割って求めます。株価1,000円、予想年間配当金50円なら、予想配当利回りは5%です。

ただし、この配当金は会社予想であり、確定した金額ではありません。業績悪化によって配当予想が引き下げられる可能性があります。

株価下落で利回りが高く見える場合がある

配当金が変わらなくても、株価が下がれば計算上の配当利回りは上がります。高い利回りが、企業の好業績ではなく、減配懸念による株価下落で生じている場合もあります。

利回りが同業他社より目立って高い銘柄では、決算、財務、配当方針、株価下落の理由を確認します。

配当性向と配当方針

配当性向は、利益のうちどの程度を配当金として株主へ還元したかを示します。配当性向が極端に高い場合、現在の利益では配当を維持しにくくなる可能性があります。

企業によっては、配当性向の目安、自己資本に対する配当額を示すDOE、安定配当などを株主還元方針に掲げています。決算説明資料や中期経営計画で最新の方針を確認します。

過去の減配・無配実績

過去に減配や無配があった場合は、その原因を確認します。燃料価格の急騰、原子力発電所の停止、災害、設備トラブルなど、一時的な理由か、構造的な問題かによって評価が変わります。

配当が再開された企業でも、財務の回復が十分でなければ、再び配当が見直される可能性があります。配当実績だけでなく、利益とキャッシュフローの改善を合わせて見ます。

電源構成によって収益性が変わる

電力会社がどのような発電所を保有しているかによって、燃料価格、天候、政策から受ける影響が異なります。電源構成は有価証券報告書、統合報告書、決算説明資料などで確認できます。

火力発電の比率と燃料価格

火力発電では、LNG、石炭、原油などを使用します。燃料価格が上昇した場合や円安が進んだ場合には、発電コストが増えやすくなります。

一方、火力発電は天候に左右されにくく、需要に合わせて出力を調整しやすいという役割があります。火力比率の高さだけで評価せず、燃料調達方法、発電効率、料金への反映状況を確認します。

原子力発電所の稼働状況

原子力発電所が稼働すると、火力燃料の使用を抑え、発電コストを改善できる可能性があります。そのため、再稼働や定期検査の予定が株価材料になることがあります。

ただし、再稼働には規制上の審査や安全対策が必要であり、計画が延期される場合があります。追加工事費用、廃炉費用、使用済み燃料などの長期的な負担も確認したい項目です。

水力発電の特徴

水力発電は燃料の輸入を必要とせず、発電時の二酸化炭素排出量も抑えやすい電源です。既存の大規模水力を多く保有する企業では、燃料価格が上昇したときに相対的な強みになる可能性があります。

一方で、水量は降雨や積雪の影響を受けます。渇水によって発電量が減る場合もあるため、年度ごとの出水率などを確認します。

再生可能エネルギーの事業性

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、脱炭素化に対応する成長分野です。国内外で発電所を開発し、長期契約などによって収益を得る企業もあります。

ただし、建設費の上昇、資材価格、金利、天候、系統接続などのリスクがあります。設備容量だけでなく、投資額と期待収益を確認します。

供給地域の需要環境を確認する

電力会社株を比較する際は、全国の電力需要だけでなく、その会社が事業を展開する地域の人口、産業、工場計画などを見る必要があります。

人口と家庭用需要

人口や世帯数が減少すれば、長期的には家庭用の契約件数や販売電力量が減る可能性があります。ただし、オール電化、電気自動車、冷暖房需要などが下支えする場合もあります。

人口の変化だけで結論を出さず、1世帯当たりの電力使用量や料金プランの競争状況も確認します。

工場とデータセンターの新設計画

製造業が集積する地域や、大規模なデータセンターが計画されている地域では、産業用需要の増加が期待されます。特に半導体工場は、安定した大量の電力を必要とします。

一方、工場計画は延期や縮小、中止になることがあります。報道だけでなく、会社の需要想定や送配電設備の増強計画に反映されているかを確認するとよいでしょう。