脱炭素化に伴う設備投資のリスク

再生可能エネルギー、蓄電池、送電網、原子力などの脱炭素電源へ投資するには、多額の資金が必要です。将来の成長投資であっても、株主にとって常に良い結果になるとは限りません。

投資回収に時間がかかる

発電所や送電網は、建設してすぐに投資額を回収できる設備ではありません。計画、許認可、建設、運転開始まで長い期間がかかる場合があります。

建設期間中に資材価格や人件費、金利が上昇すれば、当初の想定より事業の採算が悪化する可能性があります。

計画変更や工事遅延が起こる

洋上風力などの大規模な再生可能エネルギー事業では、海域調査、地域との調整、資材調達、施工など多くの工程があります。

工事が遅れれば収益を得る時期も遅くなります。会社が公表する設備容量だけでなく、運転開始時期や総投資額、採算性を確認することが重要です。

金利上昇が電力会社株へ与える影響

電力会社は多額の設備を保有し、借入金や社債で資金を調達することがあります。金利が上昇すると、新たな借入れや借り換えにかかる利息が増える可能性があります。

支払利息が増えれば、発電や販売で利益を得ても、最終的な利益が減ります。有利子負債の総額だけでなく、固定金利と変動金利の構成、返済期限、平均金利などを確認するとよいでしょう。

また、金利が上がると、預金や債券など株式以外の利回りも上昇することがあります。投資家が高配当株よりも値動きの小さい資産を選ぶようになれば、電力会社株の評価が低下する可能性があります。

電力会社株のリスクを抑える方法

電力会社株のリスクを完全になくすことはできません。ただし、投資額や銘柄の組み合わせを工夫すれば、一つの出来事が資産全体へ与える影響を抑えられます。

  • 生活費や近い将来に使う資金を投資しない
  • 一つの電力会社株へ資金を集中させない
  • 電力以外の業種や投資信託と組み合わせる
  • 配当利回りだけでなく、財務とキャッシュフローを見る
  • 原子力発電所や大型投資の進捗を確認する
  • 決算ごとに業績予想と配当予想を見直す

電力会社株は、電力需要の増加や配当を期待できる一方、燃料高、原子力、災害、政策、設備投資など複数のリスクを抱えています。「社会に必要な会社だから安全」と考えるのではなく、損失が出ても生活に影響しない範囲で投資することが大切です。

※1 資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
※2 原子力規制委員会「新規制基準適合性に係る審査・検査の流れ」
https://www.nra.go.jp/activity/regulation/tekigousei/unten.html
※3 電力広域的運営推進機関「2026年度供給計画の取りまとめ」
https://www.occto.or.jp/assets/hyougiinkai/002734/2025_4_besshi_1.pdf