電力会社はどのように利益を得ているのか
電力会社の売上は、家庭や企業への電力販売だけで構成されているわけではありません。発電した電気の卸売、送配電設備の利用、ガス販売、海外事業などを手がける企業もあります。
家庭や企業への電力販売
小売事業では、契約者が使用した電力量などに応じて電気料金を受け取ります。気温が高い夏や寒い冬には、冷暖房の利用によって販売電力量が増えることがあります。
ただし、販売量が増えても、電力の調達費用や燃料費がそれ以上に増えれば利益は伸びません。顧客数、販売電力量、販売単価、調達単価を合わせて見る必要があります。
発電した電気の販売
発電事業では、自社の小売部門に電気を供給するほか、卸電力市場や他の小売事業者へ販売することがあります。発電コストより高い価格で電気を販売できれば利益につながります。
火力発電ではLNG、石炭、原油などの燃料費が大きな負担になります。一方、水力や原子力は運転時の燃料費が相対的に小さいものの、建設費、安全対策費、維持管理費などを考慮しなければなりません。
送配電設備の利用から得る収益
送配電事業者は、発電所から利用者まで電気を届ける設備を管理します。小売電気事業者が送配電網を利用すると、託送料金が支払われます。
送配電は地域の電力供給を支える重要な事業ですが、送電線、変電所、電柱などの維持・更新に継続的な投資が必要です。自然災害で設備が損傷した場合には、復旧費用も発生します。
電気以外の事業を展開する企業もある
電力会社によっては、都市ガス、通信、不動産、海外発電、再生可能エネルギー、エネルギー管理サービスなども手がけています。電気事業以外の収益が育てば、燃料価格や国内需要への依存を抑えられる可能性があります。
一方で、事業を広げれば新たな投資リスクも生じます。海外事業で損失が発生したり、新規事業の収益化に時間がかかったりすることもあるため、事業別の利益を確認することが重要です。
燃料価格は電力会社の業績にどう影響するのか
日本の電力会社にとって、火力発電用の燃料価格と為替相場は重要な業績変動要因です。燃料を海外から輸入する場合、国際価格と円相場の両方が調達費用に影響します。
燃料費調整制度が設けられている
燃料費調整制度は、原油、LNG、石炭などの輸入燃料価格の変化に応じて、電気料金を調整する仕組みです※3。燃料価格が上昇すれば調整額が加算され、下落すれば差し引かれます。
この制度があるため、燃料価格の変動がすべて電力会社の負担になるわけではありません。ただし、燃料を調達した時期と料金へ反映される時期が異なるため、短期的には利益が大きく変動することがあります。
期ずれによって利益が増減することがある
燃料価格が上がっている局面では、料金への反映が遅れることで、電力会社の負担が一時的に増えることがあります。反対に、燃料価格が下がる局面では、過去の高い燃料価格を基にした調整額が残り、一時的に利益を押し上げる場合があります。
決算資料で使われる「燃料費調整制度の期ずれ影響」は、この時間差による利益への影響を示します。本業の収益力を確認するときは、期ずれを含む利益と、期ずれを除いた利益を分けて見るとよいでしょう。





