電力会社株で減配や無配が起こる理由
電力会社は社会に必要な事業を行っていますが、業績が常に安定するとは限りません。電力業界特有の費用が急増すると、株主還元が見直されることがあります。
燃料価格や円安で発電コストが増える
火力発電用のLNG、石炭、原油などの価格が上昇すると、電力会社の燃料費が増えます。円安によって、輸入燃料の円換算価格が上昇することもあります。
燃料費調整制度で料金へ反映できる場合でも、時間差や上限、契約条件などにより、利益が一時的に圧迫されることがあります。
発電所の停止や安全対策費用が発生する
原子力発電所や火力発電所が停止すると、他の電源を稼働させたり、市場から電気を調達したりする必要があります。代替する電力の調達価格が高ければ、業績悪化につながります。
発電所の安全対策や修繕、廃炉などに多額の費用が必要になれば、配当よりも財務の安定や設備投資が優先されることがあります。
災害による復旧費用が増える
地震、台風、豪雨などで発電所や送配電設備が損傷すれば、復旧費用が発生します。停電を早期に解消するため、人員や資材の確保も必要です。
保険などで一部を補える場合もありますが、災害の規模によっては企業の利益やキャッシュフローへ大きな影響を与えます。
NISAで電力会社株を保有する方法
NISAは、一定の範囲内で株式や投資信託の売却益、配当金などが非課税になる制度です。電力会社株を含む国内上場株式は、原則として成長投資枠で購入できます。
成長投資枠で個別株を購入できる
NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。年間投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用すると年間360万円です※1。
非課税保有限度額は合計1,800万円で、このうち成長投資枠で利用できる上限は1,200万円です※1。枠をすべて使う必要はなく、資金計画に合わせて少額から利用できます。
配当金の受取方法に注意する
NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税で受け取るには、原則として「株式数比例配分方式」を選択する必要があります※2。これは、配当金を保有株数に応じて証券口座で受け取る方法です。
銀行口座で受け取る登録配当金受領口座方式などを選ぶと、NISAで保有していても配当金が非課税にならない場合があります。購入前または配当基準日前に、証券会社の設定を確認します。
NISAの損失は課税口座と損益通算できない
NISAでは利益が非課税になる一方、売却損が出ても、特定口座や一般口座の利益と相殺できません。電力会社株の株価が下落し、損失を確定した場合も同様です。
税制上の利点だけで購入銘柄を決めず、値下がりリスクと非課税枠の使い方を考えることが大切です。
配当目的でも一社に集中しない
高い配当を期待して一つの電力会社株へ資金を集中させると、その会社の発電所トラブルや減配によって資産全体が大きな影響を受けます。
複数の電力会社に分ける方法もありますが、同じ燃料価格やエネルギー政策の影響を受けやすいため、業種分散としては十分でない場合があります。通信、金融、食品、医薬品など異なる業種の株式や、分散型の投資信託と組み合わせることも検討できます。
50代の配当投資では、利回りの高さを競うよりも、配当を継続できる利益と財務があるか、減配が起きても生活に支障がない投資額かを確認することが重要です。預金を残しながら余裕資金で電力会社株を保有すれば、老後資金を一つの資産へ依存させない運用につながります。
※1 金融庁「NISAを知る」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/
※2 日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」
https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/nisahaitoukin.html





